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ネムリヒメ.
第15章  イチゴタルト.



葵に苦情を申し立てながら、着ている物をすべて脱ぎ捨て素肌にガウンを羽織った渚は、今日1日よく働いた自分の携帯電話をデスクに置く

が、そうもしている間にも携帯が新しい着信を告げだすわけで…

それを横目に渚はすでに葵が寛ぐ向かいのソファーに腰を沈めると、脚を組んで大きなため息を漏らした


「はぁ…帰ってるなら早く携帯の電源入れろよな…

お前、いったいどんだけ充実した生活してんだよ、マジその器用さに感心する。頭下がるわ」

「えー、今日はOFF、OFF。オレ今、ひとりで手いっぱい」

「なんだそれ…らしからぬ発言なんだけど、それ売り文句でいいよな」


尚も悪びれる様子のない葵に、渚が笑わない瞳を鈍く光らせる


「もぅ…渚さんや、カリカリしなさんな。積もるでしょ、話♪いいから、オレの部屋で早く飲も♪」

「はぁ、ありえねぇ。…それなりのもん、用意してんだろうな」

「あるある、美味しいイチゴタルト♪」

「って、お前な…甘いもんで酒なんか飲めねーよ、聖じゃあるまいし」

「ほれほれ♪」


さらにカリカリする渚に葵はヘラッと笑いながら、バーボンの瓶をちらつかせる


「じゃ、待ってるかーらね♡」


そう言って機嫌良くヒラヒラと手を振ると、渚の部屋をあとにする葵




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