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ネムリヒメ.
第15章  イチゴタルト.



そして……


「…で、なんでコイツがお前の部屋にいんの?!」


シャワーを済ませ、葵の部屋にやってきた渚はベッドの前で立ち止まった

葵のベッドの上にあるのは、久し振りに見る千隼の寝顔

渚は穏やかなその寝顔にそっと手を伸ばし、柔らかな頬を撫でる


「え、身の安全のために決まってるじゃん」


ソファーに腰を沈めている葵の声に顔をしかめながら振り返る渚


「は!? お前、頭大丈夫か? 自分のコト、棚にあげてるけど、夢の国になんか忘れてきたんじゃねーの」

「まさか、あんな状態の聖となんて一緒に寝せられないって、今日くらいそっとしてあげてよ」


葵は渚をソファーに招くと、ロックグラスに氷を入れバーボンを注ぎ入れた


「意味わかんねーな、お前といい聖といい…
あ、お前のとっといたシャンパン、お陀仏になってた」

「っえぇ!?」


ガタンッ!!


「うるせぇな、騒ぐな、立ち上がんな、起こすんじゃねーよ」

「……なんでぇ…オレの貴重なストック」


思いもよらぬ報告に力なく腰を下ろす葵をよそに、渚がイチゴタルトをひとくち口へと運ぶ


「んなの、このクソ甘いタルト丸かじりしてるヤツに聞けよ」

「あんのガキんちょ……」

「どうせお前が煽ったんだろ」

「……地味なだけにたち悪っ、ってか甘っ」


葵は甘いタルトをバーボンで流し込むと、氷をカランと鳴らしながら渚に目を向ける


「聖って言えばナギ…」

「……!?」

「聖にとられちゃったの!?」

「あ!?」




「………ちーちゃん」




「………!!」



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