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ネムリヒメ.
第15章  イチゴタルト.



「っ…!!」


アタシを真っ直ぐ見つめる彼の瞳…

想いも言葉も周りの音もなにもかも、その色濃く揺れる彼の瞳に吸い込まれてしまって

まるで時間が止まったかのようだった


「なぁ…」


聞こえるのは甘く掠れた彼の低い声と

大きな音をたてる自分の鼓動だけ


ただ、


「……責任とれよ」


そう呟いたいつもの余裕たっぷりの表情しか見せない彼の、こんなにも美しく切ない表情が

胸を貫いて心臓が止まりそうになった


「渚く…」


目を反らせなくて、そんな彼に返す言葉も考えられないまま名前を呼べば、遮るように唇を重ねられてなにも見えなくなる

唇から伝わる熱だけがアタシを支配して、言葉の代わりに漏れるのは甘い吐息だった


「ふ……ん…」


意識が溶けてしまいそうなくらい、甘く深く舌を絡め唇を吸い上げられて、目の前が彼の匂いでいっぱいになる

そっと手を伸ばせば、手に触れるさらさらの黒髪

はらりと揺らすように指を差し込むと、渚くんの肩がピクリと揺れた



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