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ネムリヒメ.
第15章 イチゴタルト.
彼の言葉と表情に目が離せなくて固まっていると、ふわりと彼の甘い香りがしてゆっくりと空気が動いた
シーツの擦れる音がして、艶をまとった彼の顔が近づく
そっと目を瞑ると、柔らかくて温かい感触が唇に触れた
その途端に全身の力が抜けてしまう
そして彼の言葉通り、なにかを考えるコトも、戸惑うコトも、躊躇うコトも、アタシのなかの理性ごとすべて奪われる
葵くんが隣にいるコトさえ忘れてしまうくらい、渚くんでいっぱいにされて…
仮に、誰かに身も心も奪われるってこんな感覚なんだろうか…
そう思ったらなんだか胸が苦しくて、
「っ………待っ…て……」
そんな言葉が唇の隙間からこぼれた
しかし、
「もう黙れよ…」
「…ん……」
それが彼が口にした最後の言葉で…
親指で唇を開けるように促され、再び重ねられた唇
言葉を紡ぐことも許されないほどに吐息ごと甘く絡めとられる
長く…繰り返される深いキスに余裕なんてモノはとっくに奪われて、代わりに溶かすような彼の熱と甘い疼きを与えられる