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ネムリヒメ.
第15章 イチゴタルト.
葵くんと目が合って、当然のように過るのは今朝の彼の部屋での渚くんとの一幕で
きのうのお礼も言えてないのに…
「あの…葵くん…」
彼の顔が見れなくなって俯いて口を開く
「ん…!?」
「さっきは…その……っ…ごめ…」
言葉を詰まらせながら呟くと、髪に触れる温かい手
顔をあげると、彼の笑顔があった
「ん…!? なんのコト?」
あ……
優しい微笑みを返されて、胸がキュッとなる
「オレが聞きたいのはそんな言葉じゃないよ…!?」
………!!
葵くんは優しくてズルい…
「っ……ありがと…」
「…うん」
葵くんは穏やかな表情で黙ったまま聞いてくれる
「葵くんが外に連れ出してくれて、嬉しかったから…
その、楽しかったし…だから、ありがと…」
「ん、よくできました」
ふわっ…
彼の香りが鼻を掠め、閉じ込められたのは葵くんの腕のなかで
「ちーちゃんが楽しかったならそれでいいんだよ」
「うん…」
どうしよ…
ドキドキがさっきから止まってないんだけど…
「オレで良かったら、また連れてってあーげる」
葵くんがアタシの頭に顎をのせながら笑う
「でも、オレはアイツらみたく普段から時間に融通きかないから、休みの日になっちゃうけどね」