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ネムリヒメ.
第15章 イチゴタルト.
「葵くん、ゴメンねっ!!」
葵くんの腕をすり抜けて、慌ててダイニングへと走り込む
なんとなくなんてもんじゃなくて、その光景ははっきりと悲しいくらいに想像がつく
神様ぁぁあ、甘党王子の横暴をお止めくださいー!!
…ガチャっ!!
「聖くんっ…!!」
勢いよくダイニングの扉を開ける
するとその先には…
「あはっ、遅かったね♪」
テーブルの上で真っ赤なイチゴの乗ったタルトを美味しそうに頬張る、天使…ううん、小悪魔ような聖くんの笑顔があった
「っー………!!」
悪魔ぁぁぁあ!!
「聖くん、それっ!!」
「なーに、ちーちゃんそんなに慌てて…おはよ♪」
相変わらずマイペースに微笑んでアタシを隣の席へと招く彼
目の前には無惨にも2/3程食べられたタルト
って、ほとんどないじゃん!!
そこに柔らかな聖くんの笑顔が添えられる
「はい、あーん」
「んぐっ…!!」
「食べたかったんでしょ、これ…」
息をきらせたところで口いっぱいにタルトを突っ込まれ、モゴモゴしながら目を丸くする
「んー!! …んー!!」
「おいし!? よかったね♪」
よくないよ!?
全然よくないよ!?
「あーあ、きのうせーっかくちーちゃんが帰ってきたのに、誰かさんが独り占めしっぱなしだったし…」
ひ…聖くん、その完璧な笑顔…なんか怖いよ!?
ふわふわの栗色の髪を揺らしながら、ニッコリ笑う彼