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ネムリヒメ.
第15章  イチゴタルト.




彼の白い指に涙を掬われて、そこで初めて自分が泣いていることに気がついた


「っ………!?」


アタシ…泣いてるの…

気がつかないのが不思議な程、頬を伝う涙は冷たい


どうして……


その時、ダイニングの扉の外がギャーギャーと騒がしくなって、それに気がついた聖くんがアタシをそっと抱き締めた


「ゴメン、ちーちゃん…泣かせる予定はなかったんだけど」

「っ……」


聖くんの温もりが涙で冷たくなっていたアタシのココロを温めてくれているようで、よけいに涙が溢れ出す


「ただオレは…」


聖くんがそっと髪を撫でる


「欲しいから知りたい…」


縛られてる…!?


「本当のちーちゃんを…」


本当の…アタシ……


ゆっくりとカラダを離した聖くんが優しくアタシに口づける

彼の甘い香りのなか、触れたあった唇は甘くてちょっとだけしょっぱい…


そんな最中、扉の外の声が大きく近づいて、ドアノブが音をたてる


すると聖くんは穏やかにアタシに微笑んで、残りのタルトを一気に自分の口のなかに放り込んだ


「っ、んんーっ!!!!!」


扉が開いたのと同じタイミングで、彼の衝撃の行動に泣いていたのも忘れ、スイッチが入れ替わったかのようにあがる悲鳴

そこに入ってくる葵くんと雅くん

ガタンと音をたてて椅子から立ち上がったアタシに葵くんが目を丸くする




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