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ネムリヒメ.
第15章  イチゴタルト.




「わっ…ちーちゃん…って、どうしたのその顔」


あっ…ヤバッ…

泣き顔だった…


これじゃまるで聖くんとなにかありましたって言ってるようなもの…


「聖に泣かされたの?」


ほらね…と言わんばかりに案の定、葵くんが眉を寄せて怪訝な顔をする


「あ…の、なんでもな…」

「あはっ♪ゴメンね、ちーちゃん」


すると、隣から戸惑うアタシの声を遮るようにヘラっとした聖くんの声があがった


「オレがタルト食べちゃったからって、いつまでも泣かないの」

「…………!!」


それって…聖くん…

彼の意外な言葉に驚いていると、聖くんに手を引かれて椅子に座らせられる


「ケーキならまた葵くんが買ってくれるから」

「ちょっと、聖っ」

「ねっ、ちーちゃん!?」


聖くん、気遣ってくれたんだ…

アタシの前でなにもなかったかのようにいつも通りニッコリと笑う聖くん

あたかもタルトの横取りで泣かせたんだとアタシの涙をカムフラージュしてくれてる

そんな彼の見えない優しさに胸がキュっと狭くなる


「葵、オレにも買ってきて…」

「えっ、みっくんも被害者なの!?」

「あはっ♪」

「…クソガキ」


そうなんだ…
って、聖くん朝からケーキ何個食べたわけ…





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