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ネムリヒメ.
第16章 散らばるカケラ.
え……
今なんて言ったの?
渚くんの顔を見上げながら、思考もカラダも緊急的に一時停止に陥る
食べかけのクロワッサンがポトリと手から滑り落ちて、お皿の上に小さなカケラが散らばった
アタシの不可解な様子にテーブルにいる全員が顔をあげる
そしてもう一度渚くんが口を開いた
「楓から電話だ…」
「………!!」
渚くんの声にその場が一瞬にして静まり返った
かっ…楓!?
「楓って…」
「楓だろ」
軽く微笑むと彼はアタシの耳に電話をあてがう
「えっ、ちょっ!!」
嬉しいけどっ、嬉しいけどっ…そんな急に心の準備できてないって!!
受け取った電話を落としそうになってあたふたしていると
『ちぃ……!?』
「…………!!」
電話口からずっと聞きたかった優しい声が聞こえて胸が高鳴る
「っ…か、楓!!」
アタシは慌てて電話を握りしめ、愛しい人の名前を呼ぶ…
が……
こ、声裏返った
『ははっ…なにそれ』
「ぇ…あ…」
電話の向こう側から聞こえる声は相変わらずどこまでも優しい
『変わりないか』
「あ…う、うん」
どうしよ…話したいコトはたくさんあるのに、久しぶりに聞くその声に緊張して何話していいかわかんないよ