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ネムリヒメ.
第16章 散らばるカケラ.
ゴメン、楓
アタシなにも覚えて…ない…
でも、そんなこと
なんとなく楓には言えなかった
『どうだった!?』
「え……なにが…」
でもどうしよう、会話が…
少しだけ顔が強ばる
が、
『まぁ、その様子だとアイツらと仲良くやれてるんだな』
「あ…うん」
なんだ、そういうことか
仲良く…うん、色んな意味で仲…良く…になってるけど
「みんな優しいし…」
でもこれは本当
『そりゃそうだよな…泣かせたら半殺しって言ってあるし』
「…………!!」
ぇえっ!?
楓…穏やかな声で凄いコト言ってるんですけど
み…みんな真顔で頷いてるよ!?
こ…怖いよ!?
『それより ちぃ、大事な話。
こないだ電話で話した件なんだけど…』
「え………」
で、電話!?
電話ってなに?
いつのコト!?
『どうした!?』
「う、うん…電話って、その…」
『ほら、あの日に話したろ』
「……っ!!」
え……
き、記憶にない…
ピキリと頭のなかで音がして、固まったまま言葉が返せなくなる
ドクドクと胸がイヤな音をたてだして、全身の血の気がひいていく
持っていた電話が手から滑って抜け落ちそうになった
『ちぃ……?』
問いかける楓の声に我に返るものの
「あ…えっと、アタシ……」
顔が強ばって言葉に詰まって焦ってしまう