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ネムリヒメ.
第3章  無くしたモノ.



「葵くん、ゴハンまだー? 我慢できなぃ、ムリぃ」


葵くんの腕のなかで固まっていると、横から割ってはいるようなそんな声がする

その声にダイニングの奥に目をやると、テーブルに肘をついてくるくると髪を弄んでいた彼が席をたってこちらへやってくるのが見えた


「ちーちゃんはこっちにおいでよ」


そう言いながら彼は葵くんから無理やりアタシを引っ剥がす


「ちょっと…邪魔しないで、聖」

「葵くんはゴーハーン」


ゲシッ!!


抵抗する葵くんは彼におしりを蹴飛ばされて、チェッと舌打ちしながらキッチンに消えていく


そしてアタシはというと、彼に手をひかれてテーブルに座らされた


アタシの隣に彼が座る


「オレ、聖。さっきはゴメンね」


そぅ…彼もさっき部屋に入ってきたひとりだ

緩くカールがかった栗色の髪に、それと同じ色の瞳に長い睫毛が揺れる

肌が白くて女の子みたいに綺麗な顔…

渚くんと葵くんは明らかに年上に見えるけど

聖くんはアタシと同じぐらいかな…



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