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ネムリヒメ.
第16章  散らばるカケラ.



「もういい、楓に電話する!!」

「あーあ、渚くん怒らせたー」

「ナギ最悪ー」


いきり立って立ち上がるアタシに、聖くんと葵くんの援護射撃


「クッ…お前らも笑ってたくせに…」

「電話貸して!!」


頭にきて渚くんの電話に手を伸ばす

しかし…


「待て待て待て」


それを彼にヒョイっと簡単にかわされて、アタシの手は再び空を切ることになる


「それじゃお前が濡れた意味がなくなる」

「え……」


そのひとことに沸騰した頭の熱が一気に冷める


「悪かった、座れよ」


真顔になった彼に施されて、ストンと椅子に腰を落とした


「とりあえず喜びなよ、ちーちゃん。大人の事情は聞かなかったコトにして」

「楓くんならそのくらいなんてコトないから…それは保証してもいいよ」


頭をポンポンとしてくれる聖くんに、笑顔を返してくれる葵くん

雅くんはなにも言わないけれど、こんなにわめき声あげてるのに暴言吐かれないだけマシだよね


「嬉しいだろ、千隼」

「うん、嬉しい!!」


含みのある眼差しを向ける渚くんに頷く


が、


「…ならもっと喜べって」


その言葉にさっきの楓とのやり取りが頭を過る


「…っ…………」


喜んでるよ

楓が帰ってくるんだから、嬉しいもん


だけど…

そこでさっき倒れた…正しくは倒されたロングタンブラーが目に入った




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