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ネムリヒメ.
第16章 散らばるカケラ.
……………………
───15:00…
アタシはとある建物の前にいた
「ここって…」
「パンケーキ♪」
は……い!?
「パンケーキだよね…」
「うん、パンケーキ」
互いに"パンケーキ"を連呼し合う変な会話
こんなにも虫歯になりそうな会話の相手はもちろん彼しかいない
今、アタシの隣にはニコニコと天使のような笑顔を浮かべているスーツ姿でお仕事モードの聖くんがいる
今日の彼はグレーの英国調なグレンチェックのナローラペルのスーツに黒のベストをインして、光沢のある赤のネクタイを合わせている
そんな彼に、ただひとこと
…似合ってる
ビスクドールのような彼の綺麗な顔がスーツという正装に引き立てられて、いつもより大人びて見える
聖くん×スーツ=反則
アタシのなかで完成したその方程式に導かれた鼓動は、いつもよりちょっとだけボリュームが大きい
で、でもね…
ボリュームup中の鼓動の理由はそれだけじゃないのよね
"あっそうだ♪ タルト食べちゃった罪滅ぼしに今日の午後、約束してたパンケーキ…食べに連れてってあげる♪"
彼のそんな言葉からここにいる訳なんだけど、想像してた場所とちょっと違って驚いているから
だって、目の前にあるのは木の温もりがするオシャレなカフェとはかけ離れた建物
パンケーキが食べられるカフェなら、さっきとびっきりオシャレなお店があったのに…