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ネムリヒメ.
第16章  散らばるカケラ.




「え…べつに」

「お前、なんか言いたそうだけど」

「っ………!!」


言いたいっていうか…なんていうか…別にその


「…オレ、こう見えても仕事中にオンナ抱く程ヒマじゃないのよ」

「あ…の…」

「それに忘れたわけ?」

「…………!?」

「今朝、お前をあんだけ抱けばそんな体力残ってるわけねーだ…」

「…ちょっと!!」


タバコの灰を落としながらニヤリと笑う渚くんの声を、顔を真っ赤にしながら遮るアタシ


「なんだよ…」

「っ…!!」


渚くんは灰皿にタバコを潰すと、ソファーを立った

ただそれだけなのに、なんでこんなにドキドキしなきゃならないの


「お前さ…」

「っ…!!」


低く艶っぽい声がしてソファーの隣が沈む


「なっ、なに……っ」


首筋に指先を滑り込まされてサワッと触れる感触に肩が震える

長い脚を組みながら、彼は耳元から指を滑らせるとアタシの顎をクイっと持ち上げた

絡む視線に胸がドクドクと騒ぐ


「嫉妬……」

「……っ」

「…できるなんて、なかなか成長したんじゃねぇの」

「…………!!」


彼の言葉にあっという間に顔に熱が集まる


「し…してな…ぃっ」


ウソ。

あんなにモヤモヤしてたのも、胸が痛かったのも…

でもなんか、目の前でそんなにも色気をぶちまけながら余裕をかざされて


…悔しい



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