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ネムリヒメ.
第18章 不機嫌な Navy Blue.
「…レモネードにさくらんぼ浮いてない」
「は……」
ボソッと言ったアタシの声をちゃんと聞き取ったらしく雅くんがカラダを起こして、怪訝な顔をする
「だから、さくらんぼ…」
「なに言ってんの?レモネードはレモンとミントだろうが、バカか」
「う……っ」
入ってると思ったのにな…
思いきり子供っぽいコトを言うアタシに向かって言い放たれた彼のキツい言葉に、ビクリと上がった肩をしょんぼりとおとす
「つーか、オレに言うな。渚さんに言え」
「………あ、はい」
…もう言いません
っていうか、渚くんに言っても同じコト言われそうな気がする
そんなコトを考えていると、
「お前…その靴、歩きずれぇの?」
「へ…」
なんで!?
急に足元に視線を落とす彼
「へ…、じゃねぇし……さっきから転びすぎ」
あ…確かに……
でもそれは靴のせいじゃなくて雅くんのせいなので…
「それに…」
「……!?」
アタシの足元に視線を落としたまま、彼の声のトーンが少しだけ落ちる
「いちいちああいうバカの言うこと、気にしなくていいから。相手にすんな」
「…………!!」
え……
「オレだけに限らず…さ、まわりにいるんだよ…」
「……………」
それって……
俯く彼の瞳には幻想的な灯りに揺らめくプールの水面が映っている
それがなんだか彼の瞳自体が揺れているように見えて、綺麗だけど…なんだか寂しそうにアタシには映った