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ネムリヒメ.
第20章 白と黒の影.
「でもオレはお前がもっと彼女を拒絶するかと思ったんだけど…
もしかして、気づいたのに気づかない振りしてる!?」
「はっ、なんのことだよ…」
「ちーちゃん…
彼女はオレたちにまとわりついてくるようなそこら辺のコたちとは違うってコト」
「……………」
「少なくともオレたちをひとりの人間として…ステータスだとか利害とか関係なく中身を真っ直ぐ見てくれる子だと思うけど」
「……はっ、くだらねぇな。たった数日で人のなにがわかんだっての。
揃いも揃ってあんななんにも知らねぇオンナに骨抜きにされやがって…
それに聖、少し前まで色恋沙汰はゲームだとか暇潰しだとか言ってたヤツの吐く言葉とは思えねぇな」
くだらない…
でもなにかがすっきりしない…
千隼とふたりで出掛け、彼女に言われた言葉が雅の頭のなかには過っていた
『つーか、お前…オレのことなんにも知らねぇだ…』
『っ、知らないけどっ!!』
『…………!!』
『アタシだって雅くんのコトなにも知らないけど、でも…』
『……………』
『アタシが今日知った雅くんはそんなんじゃなかったから…』
『っ……!!』
─いつからか求めようともしなくなってしまった生温いなにか…
─いつからか割りきって目を背けていたなにか…
蓋をしてしまった、心の底にしまいこんでしまったなにかに触れられた気がして
"…勘違いすんじゃねぇぞ"
突き放すように吐き捨てたあの言葉
「…バっカじゃねぇの」
─今の自分にはそれは真っ直ぐ過ぎて…
認めるのが怖いか
ぬるま湯のようなそれを受け入れるのがイヤなのか
ヘドがでそうだ…