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ネムリヒメ.
第20章 白と黒の影.
「まあ言ってなよ、雅…」
「………!?」
聖は立ち上がるとゆっくりと向かいに座っていた雅へ歩み寄る
そして妖美に目を細めながら、白い指を雅の顎にひっかけた
「こないだはオレたちの邪魔すんなって言ったけど…
でも、いつかお前も必ず欲しくなるよ…
解毒剤(カノジョ)が」
「っ………!!」
「あはっ…あげないけど♪」
聖はバチバチと絡む雅との視線を楽しむと、ピンっと持ち上げていた顎を外した
そして楽しそうに口元を歪めると、ウォッカの入ったショットグラスを一気に呷る
すると今度は横から葵が雅の髪をわしゃわしゃとかき混ぜてきた
「まっ、その前に…」
「っ…なんだよ」
「無理にちーちゃんと仲良くしろだなんて言わないけどね、みっくん…
あのナギが毎晩離さないくらいだから、今度泣かせたらどうなるかだけは気を付けなさい。きっと楓くんより怖いから…」
「あははっ、あり得る」
「…なーんて、忠告とか優しいオレ♪ね、みっくん」
「気持ち悪っ、寄るんじゃねぇよ」
肩を抱く葵を煩わしそうに雅ははね除けようとする
が、
「みっくん、アルコールに弱いけど…酔うとキャラ変わるの自覚ある!?」
「は…なに言って…」
突然 突拍子のないことを言う葵は、そのまま雅を抱き寄せる
「あの日…ちーちゃんを助けた時の泥酔状態のみっくん、王子様みたいにカッコよかったからもっかい飲んでみよっか♪」
「っ…!! みよっか♪じゃねぇぞ葵、ふざけんな」