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第20章 　白と黒の影.

すると


「大丈夫だよ、雅。豹変したらなにか思い出すかもしれないでしょ」


隣に立ったままの聖が栗色の瞳を妖しく光らせながら笑いかけてくる


「っ、待て!!オレは飲まねえ」


が、雅は断然拒否だった


しかし、


「安心して!? もうたっぷり飲んでるから…」

「は!?飲んでるって…」

「え…気がつかなかった？　さっきから飲んでるそれ…」

「っ…!!　まさか……おま…っ!?」


聖がソファーの背もたれに腰を預け、にっこりと笑うのを合図に雅の視界が大きく歪む

そんな雅の耳元に聖は顔を寄せるとゆっくりと囁いた


「雅…いいこ…オレの声だけ聞いて」

「っ…!」


聖は雅のカラダを静かに揺らしながら背中をトントンと一定のリズムを刻み始める


「いい、雅…」

「っ……………」


一気に酔いが回ったのか、ボーッとする雅の頭のなかには不思議と聖の声だけが響いていた


「…ふだん飲まないのにあんなに飲めば…ほら…急激に酔いが回る…」

「ふざけ…ん…な」

「あはっ…それに今日は色々疲れちゃったよね…」

「っ…」

「たくさん飲んだし、疲れたから、ほら…眠くない!?」


すると、聖の囁きにだんだん落ちてくる雅の瞼


「………眠ぃ」

「そう、じゃあそのまま少しだけ眠るといいよ…

そして、目が覚めてもあれだけ飲めば酒は抜けないよね。お前はひどく泥酔してるんだよ…あの日みたいに」

「あの…日…」

「そう、彼女と…ちーちゃんと初めて会ったあの日」

「ん…………」