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ネムリヒメ.
第20章 白と黒の影.
「フッ…世間を騒がせしてしまいお恥ずかしい…
しかし、紫堂さんならおわかりでしょう…スキャンダルはいい男の悲しい性です」
「……え、えぇ」
─あ、そう…
そういうカンジ!?
こいつのスキャンダルって確か、愛人10人…政界一のプレイボーイだったよな
じゃあ、このオンナが新しい…
それはそれで災難だな
内心とは裏腹に爽やかに微笑む渚に男は続ける
「ですがこうも忙しいと、プライベートのやりくりが大変で…」
「ははっ…でしょうね」
「ビシネスもプライベートも完璧にこなす紫堂さんを見習いたい」
「…ご謙遜を」
─はいはい、褒めてんのか嫌みなのか知らなねぇけど、一緒にすんじゃねぇよ。
その前に自分のオンナの躾ぐらいちゃんとしとけっつーの。お前にやりくり上手の葵の爪の垢、煎じて飲ませてやろうか…
つーか、そのドヤ顔…やめろ
…なんて若干イラつき始める渚だか、さすがと言っていいほど一向に表情は崩れてはいなかった
しかし、ここで渚の神経を完璧に逆撫でる決定打が降り注ぐわけで
「それにしても紫堂さんも相変わらず素敵な方を連れていらっしゃる」
「………!?」
「どうです今夜…貴方のパートナーと私のパートナー…
フフッ、彼女も充分にいいオンナでしょう」
「は……」
目の前の女性に聞こえないようにこっそりと耳打ちされるそんな言葉
鋭い渚は男のその言葉の意味をすぐに理解した