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ネムリヒメ.
第21章 あの夜の王子様.
そして、そのフロアの一角に設けられたプライベートルームの前までやってくると、渚くんは部屋の扉を軽く叩いてから足を踏み入れた
その先の空間には、贅沢なアールデコ期を彷彿とさせるモダンな雰囲気が漂っている
ホテル内よりも完璧に日常をシャットアウトされた空間
程よく落とされた照明に天井から下げられた豪勢なシャンデリアが目を引く
本来ここには葵くん、聖くん、そして雅くんがいるはずだったらしいのだが…
「…なんで誰もいねぇの」
「……………!?」
…誰の姿も見当たらない
静まり返った部屋のなかに驚きというよりは半ば呆れたような彼の声が響き渡る
バカラのテーブルには積まれたまま残されたチップ
投げ置かれた携帯電話
ソファー席のテーブルには飲みかけのアルコール類と、葵くんのものと思われる腕時計とサングラスが残されていた
「ったく、アイツら……千隼、おいで」
渚くんがため息をつきながらアタシを側へと招く
すると彼は何かに気がついたらしく、バーカウンターに置かれていた紙切れを手に取った
「「………!?」」
なにかのメモ…!?
彼と一緒にそれを覗きこむ
そこには…
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♡オレの愛するナギへ♡
留守番は置いてくから、呼びにきて♡♡♡
下で遊んでるね───♡
♡あおい♡
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……………!!