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ネムリヒメ.
第21章 あの夜の王子様.
自分のカードが悪い場合、勝負を降りることも出来るが降りた場合は賭け金は失う
大して強い役を持っていなくても、強気に賭け金をつりあげ、他のプレーヤーを降ろす戦法もあり
そんな心理の要素も大きいゲームだからこそ、勝負の流れを見て、緩急自在に立ち回ることが重要なこのゲームは、カジノにおいてプレーヤーの裁量範囲が最も大きいゲームだとも言える
つまり、心理戦や駆け引きを得意として好む聖にはもってこいというわけで…
プレイヤー同士の探り合いの続く絶妙な空気のなか進むゲーム
「はぁ…ダメだ、私はここで降りよう。フォールドだ」
「…コール」
「はっはっは…私はレイズだね」
この勝負に乗るか降りるか…
1ゲームに4回、それぞれのプレイヤーが勝負の進退を考えるベッティングラウンド
潔くゲームを降りる者、先に期待して勝負を続ける者、そして賭け金を吊り上げるモノ…
様々な思惑と戦略が飛び交うなか、ゲームが進み賭け金が吊り上がる度にギャラリーも大きく沸いてくる
そしてこのオトコといえば…
「レイズ…だね」
テーブルの中央に5枚目の共通カードがオープン状態で配られ、訪れた最後のベッティングラウンド
ショウダウン目前で余程に手役に自信があるのか、それともただのブラフなのか…
いつにも増して感情の掴めない表情で、そう口にした聖
その声は、見守る渚にも届いていて…
「へぇ……強気だねぇ、アイツ」
感心した声を漏らしつつ、渚は口元をニヤリと歪める