この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ネムリヒメ.
第21章 あの夜の王子様.
しかし、渚の目の前にいるプレイヤー…
なかなか筋がいいらしく、渚が見る限りこの手札からいくと、このプレイヤーの手役はジャックのフルハウスらしい
これに勝つとなれば、場のカードからフルハウス対決は絶望的だし、フォーカードは不可能…
となれば、必然的に聖の手役はストレートフラッシュ以上でなければならないわけで…
そして更には、勝ちを確信したのかフルハウスのプレイヤー(以降、フルハウスマンと呼ぼう…)が聖をチラリと見てから賭け金を更に吊り上げる
─さすがに聖のヤツ、そう簡単にストレートフラッシュなんて無理だろ…
フッ…今日こそは負け知らずなアイツの泣き顔が拝めそうだな…
そんな想いで聖に目を向けると、その視線に気がついた聖がにっこりと笑って渚を手招いた
「…渚くんってば、そんなにオレの泣き顔見たいの」
あっけらかんと笑ってみせる聖にさすがの渚も苦笑う
「お前、この場…勝つつもりなの!? あっちの客、お前に勝つつもりでオールイン(手持ちのチップを全賭け)してるけど…」
気がつけば途中でフォールドしたプレイヤーを除いて、ショウダウンを待つプレイヤーは聖とフルハウスマンのみ
勝った方が、集まった賭け金を総取りとなるわけで…
「あはっ、オレが負けたトコみたことないでしょ♪」
「言ってろよ…」
相変わらずの調子の聖の頭にポンポンと渚が手を添える
「フン…慰めてやるから終わったら戻ってこい」
「…冗談」