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ネムリヒメ.
第22章  あの夜の…….





「だけど、不器用な雅がしたのはそういう人間に対しての完璧な拒絶…

それがいつから面倒になったのか無差別のオンナ嫌いになって…

それが今までちーちゃんが見てきた雅だよ」


雅…くん…


「だけどね、あの日のちーちゃんが会った雅はそうじゃない…

さっきも言ったけど今の…"この雅"だから」


"この"って……


その瞬間、


「…………!!」


耳元でカランッと涼しげな音がする

頬に触れたヒヤッとした感触に振り返ると


あ……


差し出された手にあるピンク色のグラス


「これでいい!?」

「あ…りがとう…」


ドリンクを手に、戻ってきた雅くんに渡されたピンクレモネード…

そこには本来浮かんでいるはずのない、真っ赤なマラスキーノ・チェリーが飾ってある


「あはっ、そう、これこれ♪ 誰にも剥がさせない分厚い仮面の下に極端に封じ込んだ王子様」

「あ……!」


アタシの目の前で聖くんは甘い香りを放つ真っ赤なチェリーを取り上げて口の中へと放り込んだ


「だけど、ただ泥酔したからってその仮面は誰にでも簡単に剥がせるわけじゃなんだよね…

雅、ああ見えてこのオレなんかよりもだいぶ繊細だから」

「…おい、腹黒がなに言ってんだよ」


自分を引きに出した聖くんに渚くんから冷めた突っ込みが飛んでくる


「あの日、その仮面をちーちゃんが剥がした、のか…

もしくは、雅が自分で脱いだ、のか…」


聖くんはシロップで赤く濡れた白い指をアタシの唇のなかに差し込むとそっと目を細める




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