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ネムリヒメ.
第22章 あの夜の…….
雅くんと睨み合う聖くん
だけど、突然ふっと聖くんの表情が陰った
聖…くん!?
「…っ……たくせに」
え……
今…なんて
よく聞き取れなかったけれど、雅くんを見据える彼の表情にアタシは目を見張った
怒り…
ううん、それだけじゃなくて
哀しみを含んだような瞳が大きく揺れていて…
沸き上がる感情を抑えきれなくなったような
こんなに感情的になった聖くんを見たことなかったから、驚きを隠せない
見ているだけで、胸が痛くなる…
そのくらい哀しそうな色に揺れた聖くんの瞳
そんな瞳のまま聖くんは雅くんを見据えていた
だけどっ
「っ…誰よりも…っ……たくせに……っ…」
「…聖、やめろよ」
「──────!!!」
え……
「フン…んだよ、言わせてやれよ」
「千隼の前でやめろって」
渚くんが、感情を乱した聖くんの声を途中で遮ったけれど…
聖くん、今…なんて言った…!?
「ね…聖くん…」
"誰よりも先に…"
「なんて言ったの!?」
「ッ………!!」
"自分のモノにした"……って
「ねぇっ、なんて言ったのっ!?」
気がついたらアタシは聖くんの手を強く握りしめていて…
瞳からは大粒の涙が溢れていた