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ネムリヒメ.
第22章 あの夜の…….
「怯えた顔も可愛いいんだろうけど、よく見えないのが残念」
「っ…ん……」
ようやく暗さに目が慣れてきて、なんとなく周りの様子が見えるようになったけれど
目に映るのは剥き出しのパイプに配電盤やたくさんの電気系統の設備…
たとえスタッフであっても、しょっちゅう人が出入りするような所ではないことは明らかで、
気づいてしまったそんな状況がアタシの呼吸を息苦しくさせ、じわじわと暗闇に引きずり込むように絶望感へと追い込んでいく
「安心して…オレはキミを知ってる…」
「ふ…ぅんん……」
そんななか、吐息を交えた声で鼓膜を揺らされ、耳たぶに軽く歯をたてられる
叫ぶことはできないのに、ビクリと反応するカラダからは情けなくも零れる甘い悲鳴
まるでそんな反応を楽しむかのように、今度は舌先でピアスを揺らされ、耳元に響かされる湿った水音
「ッ…ぅ……んっ!!」
色々な意味でビクビクしながら身悶えることしかできないアタシを、その腕はきつく抱く
「キミもオレを知ってるよ…」
……………!!
耳元で囁かれたそんな言葉
だけどっ…
…知らない
知るはずもない…!!
「知ら…な……」
そこでようやく出た声は驚くほど小さくて震えていて、こんな声は自分でも聞いたことがない
「大丈夫、すぐに思い出すから…ね」
「…………!!」
口元を覆っていた手を緩められて、抱き直されて布の擦れる音がする
それと共に鼻を掠めたその香り…