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ネムリヒメ.
第22章 あの夜の…….
更に追い討ちをかけるように、手で鼻を塞ぐように覆われ施される深い口づけ
「ふ……んっ…ッ…!!」
残酷にも蹂躙されたカラダには抵抗する力など残っているはずもなく、虚しくも溢れだした涙が暗闇のなか頬を濡らしていく
嫌だ…
助けて…
どんなに叫んでも誰にも届かない
苦しい…助け…て……
どんなに涙を流しても誰もこない
恐怖と混乱の狭間、暗闇のなかでの絶望…
アタシ…
もう…
ダメかな……
チカチカして次第に霞みがかる視界
頭がクラクラして、ぐるぐると回る世界が崩れていく
「……………ッ…!!」
そしてとうとう訪れてしまったその瞬間…
小さな固まりが喉元を通った感触にドクンと心臓が嫌な音を奏でて、ゾワリと全身が総毛立つ
その衝撃に見開かれた瞳に、暗闇のなかぼんやりと映る男の顔…
薄れ行く意識先でなぜか覚えのある甘いマスクが、ゆっくりと妖美な笑みを浮かべながら唇から零れ落ちる蜜を指先で掬い上げる
「お楽しみは部屋でゆっくりと…」
「………………ッ…」
スローモーションのようにゆっくりと落ちていく瞼
男の腕から解放されたカラダが壁づたいに滑り落ちて、その冷たさがドレスの布越しに背中を撫でていく
カクンと落ちた頭に落とされる口づけ…
しかし、それをアタシは感じることはなく
「ね…仔猫チャン♡」
「…………………」
男のそんな最後の囁きが耳に届くのは、
意識を深い深い闇のなかに手放した後だった