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ネムリヒメ.
第22章 あの夜の…….
「ッ…て…ぇ……」
「……………」
苦痛に顔を歪める雅
彼が負傷したのは誰が見てもわかるくらいだった
しかし、そんな雅の胸ぐらを葵は容赦なく捻りあげる
が、
「葵っ!!」
バシャッ…
「………っ!?」
突然の水音とその冷たさにハッとする葵…
「やめろって言ってんの聞こえねぇの」
渚が勢いよく葵の肩を引いて雅から引き離すと、その衝撃で無造作な7:3オールバックにセットされた金髪が崩れて、ハラリと落ちた前髪と一緒に葵の顔から水が滴り落ちる
「っ…んなことやってる場合じゃねぇだろ、後にしろ」
渚にかけられた水が葵の頬を伝い、顎の先からポタポタと落ちて床を濡らしていく
「千隼…」
「っ…………!!」
渚が静かに口にした名前にピクリと反応した葵
「あ……」
「あ…じゃねぇ、早く千隼を探してくれ」
冷たく光を失っていた瞳に再び光を宿し、冷静を取り戻した葵の耳に届く渚の切羽詰まった声
「ちーちゃん…………っ!!ヤバッ!!」
その声に葵の瞳は大きく見開かれ、瞬く間に顔を焦りの表情へと一変させる
「葵くん、渚くんに怒鳴らせるなんてなに考えてんの…
ねっ渚くん、ちーちゃんルームキーは!?」
葵にさらっと毒を吐きながら扉に手をかける聖に、渚は千隼が置いていってしまったクラッチバックのなかを確認して首を横に振る
「っ…まずいな…」
渚がクラッチから取り出したルームキーを目にして、露骨に表情を曇らせる聖