この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ネムリヒメ.
第23章 薔薇の刺、棘の鎖.
「望…なに言って…」
"早くいきなよ"
"じゃないとヤバイよ…お前の、姫が♡"
雅は目の前でニヤリと笑うオトコの言葉に耳を疑った
「ん!? なにって…あぁ♪ゴメーン、間違えた」
「…あ!?」
春の夜のプールサイド
そこで眩しいオーラを放つオトコがふたり、睨み合っている
ただならぬ存在感を放つ雅と、それに引けを取らない望と呼ばれるオトコ
「お前のじゃなくて、オレの姫♡だった」
望はサングラスの奥の瞳をスッと細めるとウォーターガンの先で、雫の滴る雅の前髪を持ち上げる
「……おい」
「え、なに」
「なに、じゃねぇ…っ」
完璧に機嫌を損ねた雅
「聞いてんのはそこじゃねぇよ」
「えー、違うの!? でも、オレの姫だし」
「………」
っ…こんなヤツに構ってるヒマなんてねぇ
落ち着け、オレ
苛立つ雅の前髪を悪戯に上下に揺らしながら、望から返ってくる軽口
神経を逆撫でされ、いつもなら容赦なく胸ぐらを捻り上げるところだか、今はそれどころじゃない雅はぐっと堪える
しかし、
「ね…ヤんないの、雅」
「………!?」
目の前のオトコは、あろうことかケンカをふっかけてくるわけで
「久しぶりに遊ぼうよ、最近カラダ鈍ってるんだよね…ちょっと暴れたいから付き合って♪」
指をパキパキと鳴らしながらニヤリと笑い、雅をファイトに誘ってくる
だが、そんな余裕は今の雅には持ち合わせてはいない
雅は鋭い眼差しで望を睨み付けた