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ネムリヒメ.
第23章  薔薇の刺、棘の鎖.





「あー…でも、もしそうなら普通に探しても見つからないかも」

「っ…!?」


喉元を捻り上げる雅の手を払いのけ、軽やかに身を翻す望の口から飛び出した意味深な言葉


「お前の、じゃなくてオレの姫♡」

「………」


こいつ、なんか知ってる…

ヤバいんだろ
なのになんでこんなに暢気なんだよ…


雅を混乱させる望の態度

ニヤッと意味ありげに笑うその表情が、雅に焦りと苛立ちを一層募らせる


ただ暴れてぇだけ!?

なら、こんなのいつまでも相手にしてらんねぇ!!

でも、

なんか知ってるからには吐かせねぇと

っ…

とにかく、ふざけんな!!


掻き乱される頭のなか


「知りたい!? 雅…」


そんな雅を愚弄するように望は容赦なく煽りたてる

挙げ句の果てには、ファイトに備え、楽しそうにカラダを解しながら準備運動をし始める始末だ


「ッ…言え、望!!」


そんな望の態度は雅を追い詰め、完璧に怒りのバロメーターを一気にMAXまで押し上げる

望はコキコキと首を鳴らすと、今度は逆に雅の胸ぐらに手をかけた


「ならさ…早くオレを満足させてよ♪」

「っ!!」

「そしたらイイコト、教えてあげるから」


少し甘めのフェイスから、ある人物を彷彿とさせる挑発的な視線を送り出してくる切れ長の目

自分よりも年下のくせに、生意気にも漂う兄譲りの人を殺せるような色気に、右フックを受けた腹部が再び疼く


「…上等だ、クソガキ。とっとと吐け」

「フンッ、そうこなくっちゃ♪」


ビュンッ…!!


拳が風を切る音が互いの耳に届いた




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