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ネムリヒメ.
第25章 Black Emperor.
「一個目…」
どんなに緻密に造られたトラップも見破られたらただのガラクタだ…
グラスのなかの透明な海の底に沈んだ向日葵
それは聖があらかじめ郁に仕掛けたモノだった
位置情報を把握するためのGPS
それを郁が必ず身につける向日葵の徽章に仕込んですり替えた
なんのために…
勿論、こんなときのためにだ
自分たちのもとを飛び出して行った千隼を捜すものの、なかなか見つからないことを不審に思った聖は真っ先に郁のことを疑った
そんな時を同じくして、発砲音を最後に郁から電話を切られた渚からの指示もあり、郁の居場所を探ったのだか…
彼の居場所を示す三つの点滅に導かれ、息を切らせて辿り着いた扉の前
しかし、その先にいたのは郁ではなく、なぜか自分のオンナたちに今にものまれそうになっている葵だった
─どうして…
聖はすぐに言葉がでなかった
彼女を泣かせてしまったバチが当たったんだと思った
目の前にはソファーの背もたれに押し倒されオンナたちに揉みくちゃにされる葵が、とりあげられた携帯電話に必死に手を伸ばしている
そこからは渚の怒声が漏れ聞こえていた
するとその場に黙って佇む聖に、葵に馬乗りになっていたオンナが振り返り頬笑んだ
「"ザンネン、ヒジリ"」
「ッ……!!」
「郁が貴方にそう伝えてって…」
そこで初めて、嵌めようとしていた相手に自分達が嵌められていたことを自覚する