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ネムリヒメ.
第25章 Black Emperor.
そして携帯電話のディスプレイからまたひとつ赤い点滅が消失するのを確認する聖
…それはご丁寧にもキーケースから外され裸にされた郁の愛車のキーだった
これもまた、今は静かに睫毛を伏せているオンナたちから取り上げたもののひとつである
「ッ…はあ…」
未だに引かない不快感に相変わらずごしごしと口許を擦りながら聖は静まり返った辺りを見回す
─こんなところ、
ちーちゃんが見たら嫌われちゃうかも…
見渡した自分で作った惨劇の跡に思わず虚しい失笑が溢れてくる
だけど、
あの葵くんをあそこまで追い詰めるほど暴走した彼女たちを黙らせるには、こうするしかなかった
こうするのが一番手っ取り早かった
なにかを言ってどうにかなるんだったら葵くんだってとっくにそうしてたはずだ
出来なかったからああなってた
…勿論、全てを知ったうえでの郁くんの策略で
力付くだったらいくらでもどうにでもできたと思う
男女の力の差なら考えるまでのものじゃない
しかしそんなのもってのほかなんだ
…彼女たちは郁くんに上手く乗せられただけだから
全く無害だったとは言い難いが、そんな彼女たちを傷付けるわけにはいかなった
それは葵くんも一緒だったと思う
仕掛けたGPSをすべて見破り、逆に誘き寄せられたのはそれを仕掛けたオレ
しかも扉の先には無様にも自分で自分の首を締める形になってる葵くん