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ネムリヒメ.
第25章 Black Emperor.
お誂え向きもいいところだ
オレたちにぴったり、素晴らしく屈辱的な足止めだったと思う
郁くんを見つけたら絶対に最後は力勝負になるのは確実だから…
絶対に勝てる葵くんの身動きを封じて、力じゃ勝てないって自負してるオレに改めてそれを思い知らせながら二者択一の選択を迫る
そんな郁くんの腹黒さは優に自分を上回る
流行りの言葉を借りて言うなれば、まさしくゲスの極みだ
ただ幸い、彼女たちが暴走するほど葵くん欠乏症だったのが救いだった
言葉は悪いけど、餓えているオンナほど快楽で蹂躙するのに容易なモノはないから
そんなの朝飯前♪
…なんてそれは、こんな思いもよらない拒絶反応がなければの話だけど
「ッ……ゲホッ──」
"…勘違いしないで、葵くんのためじゃない"
"わかってるよ"
"ッ…!!なら、早く行けっての!!"
…あれから、ほぼ全裸に近かった葵くんが必要最低限の身なりを整えるのを確認すると、彼をカジノから叩き出した
っていうか、一瞬泣きそうになってたオレの表情を見抜いて頭を撫でてきたから、お礼と言わんばかりに蹴りだしてやった
軽く手を上げ忙しく踵を返した葵くんの背中を見送るオレ
こうすることが、彼女を泣かせてしまったことに対する贖罪だなんて口が裂けても言うつもりなんてない
だけど、胸がどうしようもなく痛かった
泣きそうなくらい痛かった