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ネムリヒメ.
第25章 Black Emperor.
それから…
"…いい子だね"
聖は快楽と巧みに操る言葉とでの絶妙な駆け引きで、オンナたちから欲しい答えを次々とモノにしていった
…の、だが…
「ッ…!!」
思い出したところで再び吐き気が込み上げてくる
治まらない不快感に顔を歪め、濯ぐように口に含んだテキーラをすべて床へと吐き捨てる
「は、あ…本気でやっば…やっぱり沈めようかな、葵くん…」
こんなの朝飯前だ♪
…なんていつものノリで高を括っていたのはどのくらいまでだったろうか
目的は果たしたがその代償は計り知れないものであったと改めて痛感する
苦しかった。
─ナニモカンガエルナ…
今までと何ら変わらない馴れた行為のはずなのに、オンナたちの唇を貪りながら何度自分のなかでそう唱えただろうか
自分の腕のなかでよがり狂う彼女以外の存在…
その唇にも、絡まり合う蜜の味も、その甘い声にも吐き気がする
─ちーちゃんはこんなんじゃ…
意識的にシャットアウトしたはずの彼女の姿を無意識に思い浮かべ、どうしても目の前に重ねてしまう
そんな思いもよらない拒絶反応は聖を確実に苦しめるものだった
「…うん、そうしよう」
聖は冗談めかして軽く葵に八つ当り、なにかを立ち切るように、これで最後だ…と、一枚のコインをグラスの淵に置きかける
が、
「………」
なぜか不意に思いとどまる聖
手元にあるコインになんとなくだが違和感を覚える