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第25章 　Black Emperor.

だけど、実際にオレを突き動かしたのは彼のもっと他の言葉だった


"手錠の鍵は恐らく若葉が持ってる"

─それは納得、で…!?


"若葉は今、望と一緒にいるはずなんだ…けどさっきからその望に連絡がつかない"

─連絡つかない…って


"繋がんねぇどころか、電源が…"


─あ…そう、そういうこと…


そんな渚くんの言葉にオレはすぐに不審を抱いた


手錠の鍵は若葉ちゃんが持ってる

それは恐らく間違っていないと思った


その理由は明確だった

若葉ちゃんにはオレたち、指一本触れないから

なにか暗黙のルールがあるわけじゃないけど、彼女は葵くんですら手を出さないオンナの子

昔から親しくしてるけど、彼女がそうさせないのか、そうしないオレたちがおかしいのか…

っていうか理由すら深く考えたこともない

だけど、とにかく彼女だけは論外

間違っても脱がせたいだなんて思わない

だから郁くんがなにかを隠すなら、オレたちが必然的に死角にしてしまう彼女の素肌に近い部分がうってつけってわけで…


それに彼女、今日はきつーく自宅謹慎を渚くんに言いつけられてたから、本当はここにはいないはずなんだけどな…


それはオレたちにとって好都合だったのか、もしくは最悪な状況なのか…

話を聞く限り嫌な予感しかしないけど


だけど、そう思ったのはオレだけじゃないらしくて…


"あのオンナ、ひんむけ…"

"…御意"


案の定、聞こえてきた魔王の声にオレは悪い笑みを浮かべながら静かに首を縦に振った