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第25章 　Black Emperor.

「これ以上、アタシに触らないでよ!!さっきからいったいなんなのよ、退いてよ!!」

「………」


オレの頬に大したことないとは言い難い引っ掻き傷をつけといて、それを気にする素振りも見せず尚も噛みつく勢いで騒ぎながらオレを睨みつけてくる若葉ちゃん

気が強いコは今まで何人も見てきたけれど、図太いというか、根性があるというか…

ここまでくるといくら腹黒いと言われるこのオレでも拷問を楽しむどころか、なんだか萎えるんだけど

ちーちゃんは例外として、異性に対して"はい"か"イエス"しか言わせてこなかったあの渚くんが手を焼くのがよくわかる

若葉ちゃんには誰も指一本触れない理由をなんとなく掴みかけたところで、これから吐かせる予定の彼女の行いにそれなりの報復を…と思ったけれどなんだかもうめんどくさくなってきた

こんなくだらないことに時間を費やすなら、一刻も早くちーちゃんのために部屋に戻ってあげたい


第三者から見れば冷酷無慙で心無いヤツだと思われるだろうけど、ゴメンね…今はそれ、誉め言葉だから


そろそろ本題に取りかかろうといったん明後日の方向を見て息を吐く

若葉ちゃんの裸なんて興味がないけど仕方がない

そろそろ魔王の仰せの通り、ひんむきますか…


「さてと…」

「…ッ!?」

「冗談はここまで、ね」


オレはそんな呟きを伴い、なんの躊躇いもなく彼女の揺るんだドレスの胸元を思いきり引き下げた