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ネムリヒメ.
第26章 夜明け.
そんな彼から若葉が持っている鍵の詳細を聞かされた
郁が自分たちを欺く為に若葉に偽物の鍵を持たせたこと
そしてもちろん、彼女が渚に対する報復行為に売ったケンカのコトも、それに対する望の行いも…
それから聖は千隼の手鎖の鍵が片側だけ外れるのを自ら確認すると、何も言わずすぐに腰をあげ踵を返した
そんな聖を渚が引き留める
しかし…
"オレはオレの仕事しなきゃ…"
何かに押し潰されてしまうのを必死に堪えるように聖が言う
深く哀しみに囚われた栗色の瞳を揺らして、薄い唇を噛み締め、何かを振り払うように彼は触れればすぐに壊れてしまいそうな笑みを作った
そんな聖の頭に手を添える渚
言葉は無くとも想いを共有するかのように、くしゃりと栗色の髪をかき混ぜる
すると、
"ゴメン…"
立ち止まり俯く彼から、今にも泣きそうで頼りない蚊の鳴くような小さな声が漏れ聞こえた
…誰もなにも言わなかった
それからほんの数十秒でいつもの調子に戻った聖は部屋を出る寸前、雅にトマト砲で望が命を狙っているを暴露すると、
今度は床に転がった郁…
には目もくれず、なぜかその上に乗る葵に視線を落とした
そして一瞬だけ眼光を冷たく光らせ…
"…葵くん、オンナの趣味最悪だから"
さすがにあれは相当応えたらしい
ポツリと溢したそんな恨み節をひとつ残し、彼は望と若葉が待つ拷問部屋へと出かけて行ったのだった