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ネムリヒメ.
第26章 夜明け.
だったら誰が!?
ベッドサイドでタバコを握りしめ項垂れる渚も、
郁に跨がり踏みつけながら天を仰いでいた葵も、
トマト色に染まったシャツをぼんやり見つめていた雅も一斉に顔をあげ振り返る
そして全員がそこにある姿に驚いた
──聖がいた
優れない顔色で激しく息を切らせ、肩を上下させている聖
それ故かその表情は今にも泣き出しそうにも見える
そして固く握られた拳のなかには…
「──…にしてもホント聖、いったいどっから見つけて…」
「知るか、バーカ」
「バ…っ!?ちょっ、みっくん蹴るよ」
「っるせ!!」
「…おい、やめろ。いつどこで何してるかわかんねぇのがアイツの専売特許だろうが」
渚が千隼の手首から外した手鎖を葵へと放り投げる
「アイツの人脈舐めんなよ」
「あぁ、そうでした。恐いなぁ、通称"腹黒ネットワーク"…」
手鎖を受け取った葵は、郁のうえでマウントをキープしたまま、トマト漬けにされ床の上で死んだように動かない彼の後ろ手にそれを掛けた
─鍵は若葉が持ってる
そんな読みは当たりのようで外れだった
今頃望たちのところにいるはずの聖から、息も絶え絶え何かを渡される
それは正真正銘、千隼の手鎖の鍵だった
しかし、聞けばまだ若葉には会っていないと言う
思わず怪訝な表情を浮かべる一同
そんな彼らに聖は笑った
"オレの忠犬(ワンコ)たちは優秀だから♪"…と
とんだ奇怪話だが、聖なら…と全員が一致して納得の表情を見せる