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ネムリヒメ.
第26章 夜明け.
空っぽなのにぐしゃぐしゃでめちゃくちゃで…
高ぶるのはあるようでない感情なのか、それはわからない
それでも涙は止まらなくて…
それから雅くんは、ただどうしようもなく泣くことしかできないアタシを黙って抱いていてくれた
震えるカラダを温かい腕でいつまでも
アタシがそのまま泣き疲れて眠ってしまってからもずっと…
そうしてどのくらいの時間がたったのだろうか
気がつけばアタシのカラダは再び柔らかなベッドの上に横たえられていた
包まれるように抱かれたまま暖かな胸元で目を覚ます
…ずっとこうしていてくれたんだ、雅く…
──んん!!?
「……!!」
驚きは突然、再びやってくる
え…
なぜに!?
…またもや、目の前に天使がいた
まさかの寝起きドッキリpart3にリアクションにも困る
だけどそこにいるのはさっきとは違う天使だ
頬に傷を負った、甘い香りがする栗色の髪の天使だった
「聖くん…」
思わずその名を口にして、傷のついた陶器のような白い肌に手を伸ばす
するとうっすらと開かれる栗色の瞳
それが瞬く間に見開かれ大きく揺れたかと思えば、すぐに腕に力が込められる
「ちーちゃん…ッ…」
そしてなにも見えなくなって、聞こえたのは聖くんの泣きそうな声…
彼はアタシの存在を確かめるように何度も何度も名前を呼びながら、何度も何度も顔を額をと肩口に擦り付ける