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ネムリヒメ.
第26章  夜明け.






臨戦態勢で向き合うふたり

あっという間にアタシは蚊帳の外に放り出される


そんな時…


「…!!」


部屋中をなぜか一瞬で見知った空気が支配した


─これ…知ってるよ

知ってるよ…!!


ただならぬ殺気とどす黒いオーラ…


「うるさいってさぁ…」


それが意味するのはね…


…caution!!

…caution!!


─魔王光臨…


「さっきから言ってるよねぇ!!」

「「「─────!!!!!!」」」



…その部屋から全員が脱出するのにそう時間はかからなかった


魔王が現れた

そこに渚くんがいたわけでもないのに、突如目の前に魔王が現れたのだ


「…なんだアイツ」

「血は争えないってヤツじゃないの…」


肩でぜいぜいと息を切らせながら背中で懸命にベッドルームの扉を封印する雅くんと聖くん

い、今のって…その…


「えーと…」


なにから聞けばいい?

むしろ聞かない方がいい?


アタシを抱えて飛び出したお陰でフラフラになる雅くんと、寝不足でフラフラの聖くんが扉づたいにその場に崩れ落ちる


「………プッ」

「「……!!」」


それを見た途端、なぜかアタシは笑ってしまった

なにが可笑しかったのかはよくわからないけれど、そんなアタシに間の抜けた顔をするふたりがなんだか余計に可笑しくて…

それに顔を見合わせたふたりも表情を穏やか緩めてくれる


それから差しのべられたふたつの手…

それはどちらもとても温かかった





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