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ネムリヒメ.
第26章 夜明け.
「ねぇ、渚。オレはなにも難しいことは求めてないだろ。ただ、お前がいつもに他者に言わせてることを、オレがお前に求めてるだけ。首を縦に振るだけだ。
それに、オンナひとり屈服させるのなんて…そんなのお前なら簡単なこと、デショ?」
「っ………」
渚くんを見つめて笑った郁さんの完璧としか言いようがない笑顔にゾッとした
こんな人に自分が蹂躙されたと思うと、吐き気がする…
思わず震える手で口許を覆う…
──そんな時だった。
「千隼…きて…」
え…
今、何…て…
「ッ…!!」
頭が聞きっとった言葉の意味を噛み砕いて理解しないまま、渚くんがアタシの腕を引いた
う…嘘だよね?
ねぇ、なにかの冗談だよね?
うまく脚が動かずに、縺れながら咄嗟に渚くんを見上げる
だけど…
「ッ…────!!」
そこには光のない瞳がただあるだけで…
ッ…嫌、だ!!
渚くんッ…──!!
どんなに叫びたくても声なんて出るわけもなくて、代わりに嫌な動悸に息が急いで喉がヒューヒューいい始める
なのに…
「………こい」
っ………そん…な…ッ…
絨毯に膝をついたアタシの頭上から降り注ぐのは、聞いたことのないような冷たい彼の声…