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ネムリヒメ.
第26章  夜明け.






するとアタシの返事を待たずして、郁さんが渚くんに向かってこんなことを口走る。


「ねぇ、渚。交換…しよっか」


交…換…って…


「………」


いったい、なに…を…?


すると一瞬、郁さんの視線がアタシに向く

それでこのときわかってしまったんだ…

彼がこれからなにを言わんとしてるのか

よく考えれば当たり前の……




「…葵と千隼、…」

「………」

「…チェンジしてよ」




まるでそれは、キャバクラの指名でも変えるかのような軽率な物言いだった



「だって葵ってばオレを乱暴に扱うし、全然優しくないし」

「痛っ…、そこ骨‼腰の骨‼」


そして、片手にぶら下げた手錠をプラプラとして見せてくれては、空いた手では葵くんの腰骨を思い切り銃口で圧迫する


「それに誰だって傍に置くなら、無駄に綺麗なオトコよりも可愛く啼く綺麗なオンナのほうがいいデショ?」

「………っ」


こんな…

フェアとはまるで言い難い状況で、さらに彼を引き寄せた郁さんが渚くんに真っ直ぐ言葉を続ける


「返事は"はい"か"YES"…

フフッ、いつもそうだろ?渚…」

「………」


…言ってることがよくわからない

だけど、その一言で隣でアタシを庇う渚くんの纏う空気がより一層ピリッとしたことだけはよくわかる






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