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ネムリヒメ.
第26章 夜明け.
そして現れた魔王は…
「おい、郁……」
─ガッ!!
「ッ…く……ゴホッ…」
「…海に沈む前に言っときたいことはそれだけか?」
どれだけ強く蹴り飛ばされたのだろう…
見れば腹部を押さえ咳き込み、唇の端に血を滲ませる郁さんの顎を革靴の先で容赦なく持ち上げた
「…なぁ、こっちが大人しく黙ってりゃ調子のいいことベラベラ並べやがって…
寝言は寝て言えって何回いったらテメェのその頭は理解できんだよ。
それとも今度こそその大好きな玩具(オモチャ)で額に塞がんねぇ穴でも開けてやろうか…」
「ッ………!!」
けしてその声は怒鳴っているわけでもないのに、とても静かで落ち着いているはずなのに、誰もなにも言えなくなる程の威圧感があって、
少しでも隙を見せるものならば周りのすべてを一瞬で消し去り無に還してしまいそうな気迫と、傍にいるだけでカラダの芯から震えがくるほどの殺気が周りの景色を黒色に染めている
もちろん、こんな渚くんの姿は見たこともないし、こんな光景も見たこともない
正直、今にも彼の凶器みたいなオーラに押し潰されそうで、息をするのも精一杯だ
「…なぁ、さっき偉そうに語ってた返事はどうした。まさか、自分でできもしねぇことを人様に強要したんじゃねぇよな」
「ヒッっ──!!」
そう言った彼が郁さんが密かに手を伸ばそうとしていた拳銃を遠くへ蹴る