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淫らデッサンに疼く人妻
第18章 それぞれの想い
 夜の闇に包まれた帰り道、衛一はまるで夢から醒めたかのような表情で、さっきまでの出来事を思い返していた。
 今まで、茜以外の女性からあれほどまで激しくアプローチされたことは一度もなかっただけに、衛一にとっては鮮烈な記憶となって脳裏に刻み込まれている。
「そもそも、佐夜香はなぜあんなに、俺を求めてくれたんだろう。あれだけ可愛ければ、彼氏と別れたにしても、すぐに次の男が言い寄ってくるはず」
 さっぱり理解できず、さっきまでの出来事が全て夢だったような気になってくる衛一。
 しかし、身体中に残された、佐夜香の柔らかい感触が、決して夢ではなかったと知らせていた。
 そこで、ふとまた茜の顔が思い出されてくる。
「こんなことになって、茜に本当に申し訳ないな。あんなに、一途に俺だけを想ってくれている茜に」
 激しい罪悪感と後悔が衛一を襲った。
 だが、同時に、「だからといって、もし佐夜香からまた連絡が来れば、無視などできるはずがないだろう」ということも、気づいている衛一。
 衛一の心の中で、深い葛藤が芽生え始めていた。
「ともかく……。今日の出来事は間違いなく浮気なんだから、心に封印しておいた方がいいな。佐夜香はあれだけの美少女なんだから、俺と疎遠になったとしても、男には困らないだろうし、きっとそのうち向こうから離れていくはずだ」
 そう思うと、少しだけ心が晴れた衛一。
 再び茜のことに思いを馳せると、澄み切った夜空を見上げつつ、衛一は家路を急いだ。


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