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淫らデッサンに疼く人妻
第19章 茜、四人の前でのモデル
 しばらくそうしてキスを楽しんだ後、唇を離すと、近崎は茜のアイマスクを外した。
 まるで、夢から覚めたかのような表情の茜に対し、近崎が言う。
「茜さん、お疲れ様です。今の茜さん、すごくお美しいですよ。きっと次回、処置を完全に終えられた後は……もっともっと、お美しくなられること請け合いです」
 近崎の言う「処置」の意味は、茜にも明白だった。
 茜の気持ちは大きく揺らぐ。
 先ほどまでは、あれだけシンボルを求めていた茜だったが、いざこうして未遂に終わると、逆にホッとしている自分に気づいたのだ。
 あのまま続けていたら、確実に自分は、夫以外のシンボルを嬉々として奥底まで迎え入れていたに違いないと、茜も認めていた。
 もしそんなことになっていたら、その場では満足かもしれないが、のちのち後悔することは目に見えている、と考える茜。
 そういうわけで、茜はこのアトリエへと来るのが怖くなり始めていた。
 率直にそのことを伝えようとする茜は、じっくり言葉を選びつつ言う。
「あ、でも……。夫がいますので、こういったことは……あまり……」
「何らやましいことはないので、ご心配なく。芸術の一環ですので。もし、どうしてもとおっしゃるのであれば、もう今回のような行為はやめておきますので……。次回、お待ちしておりますよ」
「あ、は、はい……。よろしくお願いします」
 近崎から「もうしない」と言われてしまうと、茜としても断る理由がなくなった。
 近崎と弟子三人から、その裸身を食い入るように観察されていることも忘れ、茜は頷いて言った。
 すると早速、次回の日時の打ち合わせに入る近崎。
 茜が「ちょっと間隔を空けたい」と申し出たこともあり、次週の木曜ということに決定した。
 その後、近崎から案内され、浴室を借りてシャワーを浴びた茜。
 そして、全員に挨拶した後、近崎宅を後にした。


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