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淫らデッサンに疼く人妻
第5章 応募
 家に帰り一息つくと、茜は一人でパンフレットと書類を眺め始めた。
 独りぼっちなので、家の中は静まり返っている。
 すでに夕方6時を回っているが、まだ夕暮れの気配はない。
 茜はまだ悩んではいたものの、最初よりはかなり、応募の方向へ心が傾きつつあった。
 次に美雪と会えるのは来週月曜だし、他の友達と会えるのも週末だったので、早速明日などは茜にとって「何もない退屈な日」なのだ。
 衛一の出張は一週間という話だが、別に出張が終わったところで仕事は相変わらず忙しいだろうし、早朝から深夜までの長い時間、茜が独りぼっちだということは変わらない。
「ああ、寂しいなぁ……」
 思わず、茜は呟いた。
「家事、するかぁ」
 それしかすることがないので、茜は家事へと向かった。
 寂しさを少しでも紛らわすため。

 前日の残り物を晩御飯として食べ、お皿洗いが終わると、またしても退屈さと寂しさが茜を襲った。
 そして再びパンフレットを眺める。
 一気に決心が固まりつつあった。
「そう……。美雪が言うように、実技試験を受けてみて、できるかどうか判断すればいいんじゃないかな。実技試験に立ち会うのは近崎さんだけという話だから……もし、裸を見られるにしても、あの優しそうな近崎さんだけだし……我慢できる……かも。それに、美雪はああ言ってたけど、書類選考や面接で落ちちゃうかもしれないからね。うん、受けるだけ受けてみよう」
 そう呟くと、茜は書類を取り出し、書き始めることに。
 1枚目の用紙は、名前や住所や電話番号、配偶者の有無など、一般的な質問に終始していた。
 しかし、2枚目の用紙には、持病のあるなしや健康状態などについて、事細かな質問が書かれている。
 近崎も何度も説明を繰り返していたように、その部分がすごくデリケートな問題らしかった。
 ただ、幸いなことに、茜は大病を患ったこともなく、健康そのものであり、現在は少々身体がなまってるとはいえ学生時代には陸上部に所属していたこともあって、健康面や体力面については本人もさほど心配はしていない。
 心配しているのはただ一点。
 やはり、「夫以外の男性に裸を見せないといけない」……このことだけだ。
 しかし、「応募するんだ」と決心を固め、一気に書類を全て書き上げた茜は、封筒に入れて切手を貼り、その決意が揺らがないうちにポストへと走った。


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