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淫らデッサンに疼く人妻
第5章 応募
「あ、どちらでも問題ございませんのですが、午前11時からということで、よろしいでしょうか?」
「了解いたしました。ご持参いただくものは特にございませんので、ご心配なく。では、明日の午前11時にお待ちしておりますね。お電話失礼いたしました」
「あ、本当にありがとうございました。明日、よろしくお願いしますね」
「こちらこそよろしくお願いいたします。それでは、また」
 電話が切れてからも、茜はまだ唖然としていた。
 こんなに早く決まるなんて。
 もちろん、喜びはあるが、それ以上に驚きが大きい。
 そして、不安も。
 明日、近崎の前で、服を脱がないといけない……改めてそう考えると、茜は逃げ出したくなるのだった。
 やっぱり、お断りしようかな……という思いすら湧いてくる。
 しかし、そんな身勝手なことをすれば、近崎にも迷惑がかかるのは間違いない。
 近崎はきっと、茜の面接や実技試験のために、明日の午前の予定を空けてくれていたのだろう。
 今さらお断りなんて、やはり無理だ、と茜は思い直す。
 その後もしばらく、明日のことについて考えていた茜だったが、やがて「自分が決めたことだ。明日は精一杯やりきろう」という気持ちに変化していった。
 そうなってくると、頑張ろうという気にさえなる。
 その日はそれから時間が過ぎるのが早く、あっという間に翌朝を迎えた。


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