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淫らデッサンに疼く人妻
第15章 衛一、行動へ
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 衛一を見送った近崎は、ひとりになった事務室で黙々と考え続けていた。
「まさか、茜さんの夫だなんて……」
 昼間の電話で「京極」という名を聞いて、「もしや」とは思っていたが、その通りだったという事実をいざ突きつけられてみると、近崎は驚きを隠せない。
 近崎は衛一と茜の書類を並べ、その住所を見比べて、目を丸くしていた。
 同じ苗字で同じ住所なのだから、夫婦なのだろうと近崎は想像する。
 兄や親戚だという可能性は考えてはいたものの、茜と衛一は全く似ておらず、その線は薄いように近崎には感じられた。
「しかし、何で突然、絵画教室に……? まさか、茜さんがモデルをしていることに感づき、偵察に……?」
 近崎には分からなかった。
 衛一が、茜に関することを全く口にしなかったことから、「恐らく、妻がモデルをしていることは知らないのでは」と想像する近崎。
 衛一と話している最中から近崎には、とある一つの計画が浮かんでいた。
 とんでもない計画が。
 その前準備として、唐突ながら明日早速、佐夜香と衛一を対面させることにしたのだ。
「佐夜香ちゃんと二人っきりで交わるのは、また今度ってことにしておこう。明日は出来るかどうか分からなくなったな……。衛一さんのリアクション次第では、交わることもあるかもしれないが」
 椅子に腰を下ろし、あごに手を当ててひとりごちる近崎。
「それと、まずは絵画教室へ通おうと思った動機を、しっかりと聞きだす必要があるな。いきなりそれを突っ込んで聞いてしまっては、入会を思いとどまられる危険性があったので、今日は聞かないでおいたが……。明日は聞き出そう」
 自分に言い聞かせるようにそう言うと、近崎はひとり頷いた。


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