この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
あい、見えます。
第4章 見落とさないで
薫の言葉に、遥の身体が微かに揺れた。
「ど、うして?」
「うん…」
素直に「貴方の知らないところで、私達、繋がってます」と言えず、薫が返事を濁す。
そのまま黙ってしまえば、沈黙に耐えかねたように、遥が俯いて小さく息を吐いた。
「……隣に住んでるのは、男の人だから、……仲良くも無いし、あんまり関わらないように、してるよ」
「そう、だよね…」
「だよね、って…。え、薫は、その人と知り合いなの?」
再び自分に向けられた遥の顔が、不安げに歪んでいる。
(あー、もう!)
薫は頬を膨らませると、目をギュッとつぶってから、意を決っして大きく息を吸った。
「知ってる、遥の隣に住んでる人。佐々木晋」
「……」
「でね。遥が昨日拾った手帳。あれ、佐々木晋の落し物なの」
遥は薫を見つめたまま暫くポカンとしていた。
その手に握られた食べかけのおにぎりが、手に力がこもったせいか、端だけポロッと崩れて、遥のワンピースにご飯の欠片が落ちた。
はっとして目を瞬かせた遥が何か言いかけようとするも、言葉を探しあぐねて、唇だけが微かに動く。
二の句が継げない遥を見てから、薫は真剣な顔でエプロンの布地をキュッと握った。
「遥に頼みたいのは、その手帳を、佐々木晋に返してもらうことなの」
「ど、うして?」
「うん…」
素直に「貴方の知らないところで、私達、繋がってます」と言えず、薫が返事を濁す。
そのまま黙ってしまえば、沈黙に耐えかねたように、遥が俯いて小さく息を吐いた。
「……隣に住んでるのは、男の人だから、……仲良くも無いし、あんまり関わらないように、してるよ」
「そう、だよね…」
「だよね、って…。え、薫は、その人と知り合いなの?」
再び自分に向けられた遥の顔が、不安げに歪んでいる。
(あー、もう!)
薫は頬を膨らませると、目をギュッとつぶってから、意を決っして大きく息を吸った。
「知ってる、遥の隣に住んでる人。佐々木晋」
「……」
「でね。遥が昨日拾った手帳。あれ、佐々木晋の落し物なの」
遥は薫を見つめたまま暫くポカンとしていた。
その手に握られた食べかけのおにぎりが、手に力がこもったせいか、端だけポロッと崩れて、遥のワンピースにご飯の欠片が落ちた。
はっとして目を瞬かせた遥が何か言いかけようとするも、言葉を探しあぐねて、唇だけが微かに動く。
二の句が継げない遥を見てから、薫は真剣な顔でエプロンの布地をキュッと握った。
「遥に頼みたいのは、その手帳を、佐々木晋に返してもらうことなの」