この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
あい、見えます。
第4章 見落とさないで
薫の言葉に、遥の身体が微かに揺れた。

「ど、うして?」
「うん…」

素直に「貴方の知らないところで、私達、繋がってます」と言えず、薫が返事を濁す。
そのまま黙ってしまえば、沈黙に耐えかねたように、遥が俯いて小さく息を吐いた。

「……隣に住んでるのは、男の人だから、……仲良くも無いし、あんまり関わらないように、してるよ」
「そう、だよね…」
「だよね、って…。え、薫は、その人と知り合いなの?」

再び自分に向けられた遥の顔が、不安げに歪んでいる。

(あー、もう!)

薫は頬を膨らませると、目をギュッとつぶってから、意を決っして大きく息を吸った。

「知ってる、遥の隣に住んでる人。佐々木晋」
「……」
「でね。遥が昨日拾った手帳。あれ、佐々木晋の落し物なの」

遥は薫を見つめたまま暫くポカンとしていた。
その手に握られた食べかけのおにぎりが、手に力がこもったせいか、端だけポロッと崩れて、遥のワンピースにご飯の欠片が落ちた。
はっとして目を瞬かせた遥が何か言いかけようとするも、言葉を探しあぐねて、唇だけが微かに動く。

二の句が継げない遥を見てから、薫は真剣な顔でエプロンの布地をキュッと握った。



「遥に頼みたいのは、その手帳を、佐々木晋に返してもらうことなの」



/110ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ