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第3章 episode 2 『真夏の小旅行♡』

＊＊＊

………数時間前。



「頼む！一緒に泊まりで海に行ってくれ！」

大野が俺に手を合わせた。

「え………お前と２人で？」

「アホか！何が悲しくてヤローと２人で泊まりで海に行かねばならん！」

「俺と彼女と、お前と一ノ瀬の４人。
彼女の家厳しくてさ。２人で旅行なんて絶対ムリなんだ。
だから大勢で行くって方が親も説得しやすいんだよ。
お前は部活でいつも一ノ瀬と一緒だけど、俺らは夏休みだっていうのに全然会えないんだ！
可哀想だと思って……頼む！」

大野が俺の両肩に手を置く。

「………………確かに可哀想だな」

「お前も一ノ瀬と旅行行きたいだろ？」

……桜と旅行……

「……行きたい」

「じゃあ、一ノ瀬にはお前から話してくれよ！」

大野はいつかのような不敵な笑みで言った。