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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第4章 ♠ RoundⅢ(淫夢)♠
「直輝さんって、やけに有喜菜を庇うのね」
思わず落ちた呟きを直輝は聞き逃さなかった。
「煩い。良い加減にしろッ」
直輝は怒鳴ると、紗英子に背を向け再びベッドに横たわった。
こんなにすぐ側にいるのに、何故か直輝の背中が随分と遠く感じられる。たった今まで、幾度も愛を交わし、熱い身体を重ねた二人なのに、こんな風に冷たくよそよそしい関係になってしまうのは何故なのか。
やはり、紗英子が余計なことを言ったのが原因だろうか。しかし、考えまいとすればするほど、疑問は大きく膨らんでゆく。
直輝の言うように、人は誰しも土足で踏み込まれたくない場所がある。心の聖域とでも呼べば良いかもしれない。そして、その聖域に立ち入ることを許せるのは、やはり、その人にとって最も近しいか、慕わしい存在であるだろう。
直輝にとっては、その聖域に立ち入らせて良い者は有喜菜であって、紗英子ではなかった。その違いというか、意味は大きいと思う。しかし、直輝との結婚生活をこれからも維持していくつもりならば、これ以上、そのことについて言及するのは避ける方が賢明だ。
思わず落ちた呟きを直輝は聞き逃さなかった。
「煩い。良い加減にしろッ」
直輝は怒鳴ると、紗英子に背を向け再びベッドに横たわった。
こんなにすぐ側にいるのに、何故か直輝の背中が随分と遠く感じられる。たった今まで、幾度も愛を交わし、熱い身体を重ねた二人なのに、こんな風に冷たくよそよそしい関係になってしまうのは何故なのか。
やはり、紗英子が余計なことを言ったのが原因だろうか。しかし、考えまいとすればするほど、疑問は大きく膨らんでゆく。
直輝の言うように、人は誰しも土足で踏み込まれたくない場所がある。心の聖域とでも呼べば良いかもしれない。そして、その聖域に立ち入ることを許せるのは、やはり、その人にとって最も近しいか、慕わしい存在であるだろう。
直輝にとっては、その聖域に立ち入らせて良い者は有喜菜であって、紗英子ではなかった。その違いというか、意味は大きいと思う。しかし、直輝との結婚生活をこれからも維持していくつもりならば、これ以上、そのことについて言及するのは避ける方が賢明だ。